イナイレオリオン編感想3

イナズマイレブン オリオンの刻印 総評3
2022/08/17

 面白かった部分をあげろと言われたらEDの「彗星ガールズ」の前奏入りが汎用性高くて面白かったを真っ先に上げそうなオリオンの刻印第三章。
 開幕から、一ノ瀬や土門。懐かしのキャラたちが突然降って湧いてきたチンピラチームにボロボロにされてしまうと言う波乱の幕開けとなった世界編。
 アフロディと吹雪アツヤ、小僧丸とのりかの加入がどう影響していくか。
 一方、明日人は突然お父さんと再会出来たよ良かったね。

 なんか露骨に試合回が減り、サッカーの試合がない日常回や情報収集回がやたらと増えているのに特訓の描写は依然として少ないままで、どの辺で打ち切りが決まったのかはわからないが、唐突にオリオン財団のボスがころころ変わったり、オリオン財団の更なる黒幕の存在が出てきたり、多分オリオン財団は3期まで生きてて3期で使う筈だったどうしてもやりたい所だけ引っ張り出して来たのかなぁと感じる部分がチラホラと。
 今回は稲森明日人と、世界編を牽引するキャラと試合に焦点を当てて感想をつづっていく。

  稲森明日人。君こそが主人公だろう

 オリオンに所属していた父と再開。
 この辺から、珍しく明日人が存在感をじわじわ発揮するようになる。
 お父さんと再開してからの叫びは声優の村瀬さんの演技も相まって胸を打たれた。
 サッカー選手とかプライドとか関係なく、ただ一緒にいて欲しかった。心細かった母の傍にいてやって欲しかったと涙ながらに叫ぶシーンは良かった。
 ……なのに、この父親は偽者だという(私は本物の父親については事前に知ってはいたが、観るまで偽父の展開は知らなかった)ので、なんか一周して可哀想通り越して哀れになってきた。
   ここから主人公(笑)の汚名返上……と思っていたが、やっぱり試合になると存在感薄くなるという。  スターユニコーン戦で、お父さんにいいところ見せようとして焦って失敗する彼の姿があっても自分は責めなかったが、素直な彼は躊躇なくアフロディにパスを回してしまう。  以降、話は一ノ瀬たちやアフロディ達に話の焦点が移ってしまい、終盤もちょっとドリブルしただけでアフロディにパスを回して決められてしまった。
 
 君はもう少しでしゃばれ。
 誰か彼を愛してやって欲しい。
 その後、偽父に連れられオリオンの使徒育成所へ案内され、そこで出会った少年からオリオンが単なる悪の組織ではないことを知り、オリオンの使徒にスカウトされる。
 それでも、明日人は自分の信じるサッカーを裏切れないと仲間入りを拒否。
 この辺の明日人は真面目に、主人公としての素質を感じさせた。
 しかし、オリオンの強制クロロホルムの術によって拉致。いつものクソ監督の謎の策略のせいで仲間に危機すら伝わらない。
 続く「パーフェクトスパーク」戦で、スタメン落ちとなったが、きっといてもいなくてもそんな変わらなかったろう。なのに散々粗末に扱っといて明日人の抜けた穴がさも大きいみたいに言われるのだから笑うしかない。
 そんな彼は、なんと敵に洗脳された状態で登場すると言う中々意表を突かれた展開であった。
 と、思ったらまさかのこちらも偽者。
 明日人を救う為に新条の差し金によるもので、明日人は匿われていた……。
 新条のお陰でひとまずイナズマジャパンに帰還した明日人は「オリオン財団」を元の貧しい子どもたちを支援する為の組織に戻す為にサッカーで正々堂々勝ち上がり、オリオン財団を打ち倒すという方針を打ち立てるのだった……。

 新条

 オリオン財団の理事長の側近だが、変わり果てたオリオン財団に反旗を翻す為に、密かに暗躍している。
 一星をイナズマジャパンに送り込んだのは彼で「オリオンのやり方を知ってもらう為」 と「一星の心を救ってもらうため」とのことだが、中学生が犯罪の濡れ衣着せられ、殺人未遂まで起こされ、挙句野坂がいなかったら確実に精神崩壊起こしていただろうクソガバ計画だが、全部彼の思い通りになったので結果オーライだろう。
 明日人の偽者を洗脳した明日人と偽ってオリオン側のチームに潜り込ませたりもしてたが、その彼が周囲に信じ込ませる為、やたらと活躍してしまい、イナズマジャパン敗因の半分くらいを担い、あと少しでイナズマジャパンが予選落ちした可能性すらあったが、彼は野坂さんにも匹敵する策士である。
 彼の策に間違いはないのだろう。

 ベルナルド

 本戦のストーリーを牽引するオリオン財団のラスボス……だと思ったら突然の毒親襲来。
 ベルナルドの更なる黒幕の存在は示唆されていたが、まさかのお母さん。
 直属チームであった「オーレデサンバ」の試合を見て、最終戦を前に改心したベルナルドの部屋に突撃してきたかと思えば、二連ビンタ。
 ベルナルドを子育てというより、もはや支配してきたと言う荒れた家庭環境の回想が短く挟まり遂には「ごめんなさいママァ!許してママァ!」と泣きだしてしまうシーンには笑いをこらえろと言うのが難しい。(中の人の細谷さんには申し訳ないけど)
 散々テンポ悪かったくせに、この一連シーンのテンポがやたら良いという。
 ベルナルドの心が荒れたの父親が亡くなったせいじゃなくてこの母親のせいじゃねぇかと言う最早ヤケクソすら感じる展開だった。
 

 フロイと一星

  サッパリした性格に見えてなんか高慢さか見え隠れしてる一星の友人フロイ。
 野坂の子分になってからすっかり毒気の抜けてきた一星だが、暫定ラスボスであるフロイとの絡みが多く、フロイと兄であるベルナルドとの描写はやたらと濃い。
 また病気キャラかとか、親が亡くなって心が不安定になった系兄貴とか、社長の引き出しにはただただ舌を巻く。

 偽明日人

 推理物で真犯人が読者に一切事前に示唆すらされていなかった双子の兄弟でしたみたいなオチ。
 そもそも明日人に背格好を似せるのはまだしも、声を似せたのはどうやってたのか。
 明日人に目元以外はそっくりというなんか幾らでもドラマを生み出せそうなキャラだが、以降の試合で影も形もなく本当に何なんだこいつと言わんばかりのキャラ。

 イナズマジャパンのコーチ

 イナイレでは珍しい爽やか系指導者。
 なんか唐突に出てきて、こいつがもう一人の裏切り者だろうと思ってたら全然違った。
 雷門の置き物コーチよりは百倍有能だが、メインストーリーを動かす役割もなく本当に何のために出てきたのか分からないキャラ。

以下、イナズマジャパンと世界の戦いを見た感想を細かく追っていく。

「スターユニコーン戦」
 

一ノ瀬が格好良かった。
 オリオンの息がかかった軍隊チームが本当のサッカーの楽しさに目覚め、正々堂々とサッカーをする。
 この試合は無印でも若干空気気味であった一ノ瀬が目立っており、自分を狙わせてでもオリオンの使徒から解放させる為に上手く立ち回る。
 ここは素直に良かった。
 多分、ここがオリオンの最後の輝きだったと思う。

「パーフェクトスパーク」戦
 

 イナイレ史上伝説のクソ試合。
 事実上、オリオン財団の直属チーム。
 キャプテン「フロイ」の「オリオンを認めない」と言う発言から正々堂々の試合と思ったら案の定反則祭。
 実際の実力も、催涙ガスで目が開けられなくなったキーパーの真正面に打ち込むヘボストライカーやそもそもキーパーが円堂でない、実質手加減された状態に結局反則使って勝ち越す程度の実力だが。
 3点とも不正やのりか不調時のゴールでまともな点が取れておらずのりかが本気で止めに来たらフロイですら止められており、こんな連中がどうやって「バルセロナオーブ」に楽勝勝ちしたのか(その試合で反則していたらクラリオやフロイが気づくだろうし)
 尚、ここまで砂木沼がロクに活躍できなかったのが「荒れた試合でなければ活躍できない」などというクソみたいな理由。
 敵のイレブンバンドを直接もぎ取り、文句を言われても睨み返す無法スタイル。
 クソ監督は「逆にクリーンな環境では活躍できない」と言い切り、こんなことで「ついに砂木沼が活躍した!」と喜べるものかと。
 と言うかそうと砂木沼の特性を分かっててラフプレー祭りとなってた終盤でなぜ交代させたのかもう意味が分からない。
 その後、卑怯なサッカーに付き合えないとフロイと司令塔の二人が抜け、交代で入ってきたのはなんと、オリオンの使徒育成施設にいたマリク少年と、「アース」を名乗り素顔を隠す稲森明日人だった。
 明日人の裏切りによってチーム全体に動揺が走る。そんな状況に対応できる選手……そう、野坂さんだ。
 そんな野坂さんもスタンガンには勝てなかったよ……。
 スタンガン、仕込み針、オイル、催涙ガスにやりたい放題。
 サッカーが泣いているよ。
 結局、彼も小僧丸が顔面にボールを叩き込んで直接退場させられるのだった。
 試合結果はゴールに仕込んだ催涙ガスでキーパーを行動不能にされ日本の敗北……。
 決勝への切符は大会ルールの規定で「バルセロナオーブ」と「スターユニコーン」の結果で決まると言う格好悪い展開へ。(クソ監督が珍しく焦ってたので、マジで運任せだったのだろう)

「オーレ・デ・サンバ」戦

 気持ちのいいサッカーをやれると思ったら肩透かしを食らうという展開三連発。
 ところで、ベルナルドは拉致って洗脳した筈の明日人が何事もなくイナズマジャパンに帰還していることに何の言及もないが、もうあと1クール切った今、そんな細かいことはどうでも良くなっているのだろう。
 秘孔をついて相手の動きを麻痺させる反則戦法。もう段々見てて疲れてきた頃。
 ここまで存在感発揮していたオリオン財団のボスであるベルナルド子飼いのチームであり、オリオンの光と闇を同時に受けていると言うシチュエーション的には面白いものもあったが試合内容はもはや酷いの一言。
 割と好きだった星章キャプテンの水神谷に「こちらも反則のフリをする」という作戦を展開。これなんのアニメだったか。
 それをよりによって豪炎寺に肯定させるのだから、もはや見ていられない。
 挙げ句、サッカーへの侮辱は許さない明日人ですら作戦に加担するのでやってられない。
 明日人自身、一星がスパイだった期間からそうだったが「サッカーへの侮辱は許さない」「俺達のサッカーをすればいい」など具体的な提案は言わないが、理想論だけは一丁前に掲げる奴と言う印象が際立っていく。
 終盤、彼らが改心したことで本気のぶつかり合いとなり、オリオンで珍しい必殺技の打ち合いとなってるが、キーパーの必殺技がフザケてんのかとしか思えず、結局一回もセーブできていない。(こんなんでもここまで無失点だったとか……)
 雑な展開に気持ちが沈んできたところで上述した毒親登場で一気になんかテンション上がってしまい、試合内容自体はどうでも良くなってた。

 以上世界編感想
 後はベルナルドママの率いるチームとフロイ(あとぽっと出ラスボス)との決着が残っているがそこらを引っくる総評を含めてこの70話以上もあった長かった戦いを締めくくろうと思う。