劇場版ウルトラマンデッカー感想

※劇場版ウルトラマンデッカーのネタバレ含みます
苦手な方は上記リンクよりご帰還ください。

この春、ついにウルトラマンデッカーが最終章を迎えた
一言で言い表すと「最高の大団円」
ダイナの顛末や「終のカナタ」などのキャッチコピーも相まってどこか不安もあったがそんな不安も吹き飛ばす最高の終わり方だった。

◇ウルトラマンディナスとは

 前提として「最終回でカナタはデッカーに変身する力を失っている」
「ここからいかにしてウルトラマンとして復活するか」その「復活迄の過程を埋めるためにどうすればいいか」
 そこに全てが費やされていたと言っても過言でなかった
 まずは人気も高く、客演に複雑な理由もいらないゼロやゼット、トリガーなどを出せばデッカー復活迄の場をつなぐのは簡単だったろうが今回そうはしなかった。

 その為に登場したのがウルトラDフラッシャーをもつ謎の女性「ディナス」が変身する「ウルトラマンディナス」だった
彼女はテレパシー能力に特化しているが戦いのさほど得意でない宇宙人だった。
 ある日、母性が宇宙人からの侵略にあった際、助けてくれた「ウルトラマンダイナ」 の光と共鳴し「ウルトラマンディナス」となって覚醒
 戦いの得意でなかったディナスだが、母性を守るため、そしてダイナのような「ウルトラマン」になるため
彼女はダイナのことを思い出し語る時はとてもかわいらしく見えるも何度も劇中で苦戦するが必死で自分がボロボロになりながら奮い立たせ立ち上がる。そんな強い芯のある女性だったことがとても印象に残っている。

 戦い方も格闘能力はデッカーには及ばずもテレパシー能力によって心を通わせた怪獣の力を借りて戦うスマートな戦法はとても面白かった
短いながらも非常に魅力的かつもっと活躍が見たいと思わせてくれて、ラストでカナタを復活する際に力を譲渡してしまっていたが、願わくば今後もカナタとDフラッシャーを共有して欲しいとすら……

◇人間 アスミカナタ

 今回のカナタは一番最後、締めの締めまで変身することのなく、ディナスをサポートする隊員として人間としてテラフェイザーの操縦や怪獣の引付役など従来の隊員キャラが 担うべき役割に終始していたというウルトラマン主人公としては異例の活躍を見せていた。
 その立ち回りはウルトラマンとしての役目を終えた一人の人間として時に自分の進路に迷いを見せ、孤立状態でリュウモンに頼りすぎる弱さも見せたのが個人的に人間らしく、リュウモンの事を信じているからこそ頼りぎて結果的に彼のプレッシャーとなって不和を招いたシーンは二人の価値観の違いとして強く印象に残った。

 ディナスの良き先輩として、新生ガッツセレクトの熱血指導員として人間としてやれる限界を超えた活躍を見せていたのはまるで前作主人公にも見えてきた。
 最後の「輝け……」と何度もつぶやきながらの復活劇は最終回変身をも超えるほど静かながらも激しい臨場感のあるシーンだった。
 また、今回「フラッシュタイプ」以外には変身することなく「ダイナミックタイプ」にすらならずに決着をつけるという前作の「劇場版ウルトラマントリガー」と比べて派手さはないものの手堅く、カナタが最後を締めるにふさわしい活躍だったと思われる。

 いかにしてカナタが再びウルトラマンデッカーとして再起するかが丁寧かつ、急展開にならぬよう描かれており、そこに今回は他のウルトラマンを客演させなかった理由があるのだと思えた。

◇宇宙人/怪獣

・プロフェッサー・ギベルス
 今回の敵役であり天才科学者を名乗る傲慢な侵略者であるが、もっとも美しい侵略を美学としており地球人を「スフィアの襲撃を退けた優れた種族」と見ているが「その優れた種族を(一方的に)更に自分の力によって強化してやろう」 という考えを持っているなどシンウルトラマンのメフィラス星人にも近い考えを持っており敵役としてのアプローチにも様々なバリエーションを持たせてきたと思える。

・銀河皇獣ギガロガイザ/銀河要塞獣ゾルギガロガイザ
 青を基調とした体色と赤い縞模様のラインが綺麗なレッドキングやゴモラなどと近いオーソドックスタイプの怪獣
 単体でもディナスとガッツセレクトの連携をものともしない耐久力を誇るが、ギベルスの宇宙船と合体したことで凄まじい攻撃力を得ていた。
ネオマキシマムナースキャノンとハイパーソーンレーザー、TRメガバスターすら物ともしない耐久力は圧巻の一言。
 必要に応じて自在に分離と合体を行えるため、そこも非常に厄介な怪獣であったと思える。

・イカルス星人
 東映とズブズブ、特撮御用達、キングオージャーのオファー待機中の関智一氏の怪演が光っていたシリアスブレイカー

・グレゴール人グレース
・メトロン星人ナイゲル
 意外過ぎるカナタたちの救援、開始前のおさらいでしっかりと時間を取って紹介されていたのもこういうことかと思わされ
カナタたちが出会って、積み上げてきた出会いや経験だけを使ったウルトラマンデッカーという作品単体として魅せに来てるのだと思わされた

◇総括

<・ニュージェネレーションとして

毎年新しいタイプの切り口を持ってきたニュージェネシリーズの中でも手堅い印象を感じたウルトラマンデッカー
これからもカナタたちは次に向って進んで行くだろうし、ガッツセレクトもこれからメンバーを新たに向かっていく。一つの完成された世界としてそこにキャラが生きているように感じさせられ、再三感じるのは今回は他のウルトラマンの客演などがなくてよかった。 デッカー単体で完成した物語なんだと強く感じた

・次のウルトラマン?
円谷イマジネーション限定で公開されたPV
またしてもアシンメトリーデザインの顔と覆われたカラータイマー、生物感のある肉体とうっすら確認できるデザインからも既にニュージェネらしい派手さを感じさせる
その一方で「怪獣災害の頻発」「あの巨人は果たして味方か」「宇宙飛行士の間で噂になっている」とシンウルトラマンやNプロのようなまた重厚な人間とウルトラマンの接触が描かれるのかとても期待している。