スタート
学校のプール
ただ一人こちらに向かって泳いでくる音
が聞こえる
―バシャァッ
「ふぅ…………」
「はー!気持ちよかったぁ!」
彼女は根っからの水泳好き
前世は魚とか自分で称する
くらいだ
「クロールもバタフライ、平泳ぎも
試したし、次はどうしよっかな」
とにかく泳ぐことが好きな彼女
どうしたものかと案を出す
「古式泳法?」
手を縛られたまま泳ぐために編み出された
少々難易度の高い泳ぎ方だ
「へー何それ。面白そう!」
と、彼女は興味津々だ
彼女の承諾を得て、頭にかぶったタオル
を借りようとする
「これで縛るの?
そういのって縄とかじゃなくて?」
本当は縄でもよかったが、跡が残れば
しばらく泳ぐことが出来なくなる
「あ。それもそっか」
彼女に手を後ろに回させると
タオルで手首をキツく縛った
「んっ……」
少し苦しそうにしているが
すぐ慣れていったようだ。
「ううっ////」
タオルが水を吸って血を圧迫しないよう
気を遣った
「なんかそわそわする……」
もしも怖いならやめようかと言う
「大丈夫!
ちょっとビックリしただけ」
そういって彼女は地べたに寝転がる
最初に膝をついて、強がってるように
見えるものの少し動きにくそうだ
「全然解けない......」
もぞもぞと落ち着かなさそうにしている
彼女をいさめさせるとプールへ飛び込んだ。
バシャーンッ
最初はブクブクと沈んだが
なんとか足をばたつかせて浮かび上がる
「ぷはっ」
縛られた手をくねらせて動かすのは
相当辛そうだが、一生懸命泳ぐ
「はぁ……はっ……」
時間はかかったがなんとか
25m泳ぎ切った彼女を引き上げる
「はぁ……はぁ……はぁ……はっ」
すっかり肩で息してる彼女の手の
拘束を解いた
「はぁ……はっ……」
「ちょっと大変だったけど、良かったかも」
本当にどこまでも泳ぐのが好きなんだ
と、ついこっちも笑みがこぼれてしま
うのだった。