彼女は、奥原千夏。
いつもぼんやりとしたマイペースな女の子だ。
そんな彼女がある日、自宅へ帰ってきた時のこと。
「おかえり千夏ちゃん」
彼女の姉が意気揚々とした気分で迎え入れると、内心千夏は嫌な予感がしていた。
「実はねえ、新しい脱出ゲーム作ったんだけど試してくれない?」
彼女は部屋を脱出ゲーム用に改造したり模様替えしては千夏にためさせるといった趣向を楽しんでいる。
「まぁいいけど……」
「やった、流石千夏ちゃん。じゃ早速準備するわね」
と言って部屋へと案内すると、姉は千夏の手を縄で縛り始めたのだ。
それをなんということもなく受け入れており、拘束状態で始めるのが彼女の作るゲームである。
「部屋の中にある鍵を見つけて、そしたら脱出できるから頑張ってね」
そして、ガムテープで胸周りと足を折りたたむようにして縛り上げ、部屋から出ていった。
ここは牢獄で、鍵を見つけるまでは出られないというルールだ。千夏は部屋を見渡し、早速行動を開始するのだった。
エスケープ行動を導き出して工場から脱出しよう